UEFAが「人種差別発言」の伊サッカー連盟タヴェッキオ会長に6カ月の職務停止処分を科す
欧州サッカー連盟(UEFA)はイタリアサッカー連盟(FIGC)のカルロ・タヴェッキオ会長(71歳)に人種差別発言があったとして、6カ月間の職務停止処分を科した。コリエレ・デッラ・セーラ紙(電子版)などが7日夜(日本時間8日午前)に伝えた。同会長はUEFAのユース・アマチュア委員会の委員を務めているが、処分期間中はUEFA内で活動できず、来年3月の次回総会にも出席できない。ただし、国際舞台などにおけるイタリア連盟のトップという地位は保証され、イタリア代表チームの試合には出席できる。FIGCは同処分を受け入れ、上訴しないことを明らかにした。タヴェッキオ氏は「(UEFAの処分については)ノーコメント。決定には従う」とのみコメントした。
W杯ブラジル大会での惨敗の責任を取ってジャンカルロ・アベーテ前会長が辞任したFIGCは、8月11日の会長選でタヴェッキオ氏を新会長に選出した。
ところが、タヴェッキオ氏は会長選に立候補した際、同国若手選手の出場機会が限られていることを主張する際に、架空のアフリカ系選手を例に用いて「イングランドではしっかり経歴を見るが、イタリアでは以前バナナを食べていた選手がラツィオですぐにレギュラーになる」と主張していた。
この発言が大きな波紋を呼ぶと、タヴェッキオ氏は失言だったことを認めつつも、差別的な意図はなかったと強調。メディアは激しく批判し、一部のクラブが支持を撤回するなど、「バナナ発言」をめぐって大きな議論が巻き起こった。
それでも、会長選では得票率60%超でタヴェッキオ氏が選出された。さらにFIGCが同氏の失言を不問としたことで、国際的にイタリアの人種差別に対する姿勢が疑問視された。UEFA規律委員会は8月20日に調査を始めることを公にしていたが、その結果として今回の職務停止処分が下されたもの。UEFAは、イタリア連盟に対して国内で人種差別撲滅に向けたイベントを開催することも求めている。