F1日本GPで事故に遭ったビアンキ選手、依然重篤な状態が続く~なぜ、エスケープゾーンで重機が作業中だったのに、レースを中断しなかったのか?
5日に行われたF1日本GPで、レース中の事故で頭部外傷を負い、病院に搬送されて緊急手術を受けたジュール・ビアンキ選手(フランス、マルシャ・フェラーリ)は依然、重篤な状態が続いている。
ビアンキ選手はレース終盤、雨に濡れた路面でスリップしてコースアウト。先に事故を起こして止まっていたマシンを撤去しようとしていた作業車(クレーン車)に衝突した。
国際自動車連盟(FIA)は同選手の容態に関して「安定はしているが深刻である」と発表。病院側からの発表はない。
手術を受けたビアンキ選手は自発呼吸をしているとの報道もあったが、フランスメディアは、人工呼吸器を使用していると報じている。
コリエレ・デッラ・セーラ紙オンライン版では、ビアンキ選手のマシンがエスケープゾーンに止まっている重機の下にもぐりこむような形で衝突する事故映像を公開している(冒頭に「この映像は視聴者を不快な気分にさせるおそれがあります」と注意書きされているので、ご覧になる方はこの点に留意してください)。
https://video.corriere.it/formula-uno-schianto-bianchi/97415ae6-4d67-11e4-a2e1-2c9bacd0f304
この映像を見て、まず感じたのは、なぜあのような場面でエスケープゾーン内に重機が止まっていたのか、ということだ。先に事故を起こしたマシンをクレーンで引き上げている最中で、傍らには作業中の人間もおり、彼らも事故に巻き込まれる危険性があったのだ。
読者のひとりが、「今回の事故で、問題の中心にあるのは『雨』ではない。たとえ乾いた路面であっても、コースアウトしたマシンが重機に衝突する危険性はあった」とコメントしているが、まさに(筆者も)同感である。
エスケープゾーンに作業車が止まっている間は、無条件で「赤旗」を出し続け、ペースカーが入ってレースを中断すべきではないのか。ましてや、雨で路面が濡れていて、ドライバーの視界もさえぎられているのなら、なおさらのことである。
1994年5月のアイルトン・セナ選手の死亡事故後、マシンや施設などF1における安全対策は「ハード」面では大きく向上したが、ルール等、主催者らのマネジメントという「ソフト」面では、まだまだ改善されなければならない点がある。