F1フェラーリ:王座奪還への合言葉は「不言実行」

2013年12月22日 19:01

《Il titolo stavolta ve lo do io. Scrivete che nella prossima stagione saremo costretti a vincere. Basta arrivare secondi》

「今回は私が君たちに(明日の朝刊の)見出しをプレゼントしよう。『来シーズン、我々には勝つことが“強要”されている』と書いてくれ。2位はもうたくさんだ」

フェラーリ会長のルカ・ディ・モンテゼーモロ氏は19日、マラネッロで開催されたイタリア人記者らとの恒例のプレ・クリスマス・ディナーの席上、来季にかける意気込みをこのように語った。コリエレ・デッラ・セーラ、ガゼッタ・デッロ・スポルトなどが報じている。

今季もF1世界選手権は、レッドブルのセバスチャン・ベッテル(ドイツ)の独壇場で幕を閉じた。19戦中13勝でドライバーズタイトル4連覇を達成。中でも、第11戦から最終戦にかけては9連勝と無敵で、イタリア人、そしてフェラーリにとって伝説的ドライバーであるアルベルト・アスカリに、最多連勝記録(1952-53年)で肩を並べた。コンストラクターズタイトルも大差でレッドブルが4連覇を達成、フェラーリはメルセデスにも敗れ、3位に終わった。

長いトンネルに入ってしまった「赤い跳ね馬」--。モンテゼーモロ会長は「敗因は3つある。第一に、シーズンを通してマシンを進化できなかったこと。第二に、シーズン中盤のタイヤの仕様変更が我々の車にとってマイナスに働いたこと。最後に、(第二ドライバーである)フェリペ・マッサのポイントが足りなかったことだ」と今季を総括した後、「最先端の空洞施設がようやく完成し、これでシミュレーターのレベルアップが望める。ロス・ブラウン氏の後、うまく機能していなかったテクニカル・ディレクターのポストにも、ロータスで素晴らしい実績を残し、我々の多くのスタッフとも面識のあるジェイムズ・アリソン氏が就任。これで体制面における問題も解決した」と、組織改革が順調に進んでいることを強調。

そして、来季のモットーとして、

《Poco da dire, tanto da fare》

「不言実行」という言葉を口にした。

さらに、ドライバー陣についても「我々はメルセデスと並んで、この世界で最強のペアを擁している。アロンソは現代F1最高のドライバーだと思うし、ライコネンは堅実で、毅然として、フェアであり、意欲にあふれている」と厚い信頼を寄せた。

記者から「2人の関係は(現首相の)レッタ氏と(先の民主党党首選で勝利し、次期首相候補に躍り出た)レンツィ氏のようなものか?」とウィットの効いた質問をされると、苦笑しながら「いや、もしそうなら心配の種だね」と応じ、「二人とも、フェラーリのために走らなければならないことを知っている成熟したドライバーだ。自分のために走る者には、他に行くべき強いチームが3000ほどあるさ」と続けた。

同ディナーの席上、モンテゼーモロ会長は、2014年型ニューマシンのお披露目は来年1月末に行い、車名はソーシャルネットワークを通してファンからの応募で決めるというアイデアを明らかにした。

また、同月下旬に各チームの代表をマラネッロに招き、「将来のF1について話し合う」会議を開くことも明らかにした。

F1運営組織のCEOを務めるバーニー・エクレストン氏が、近くF1界から引退する可能性を示唆したことに関しては、モンテゼーモロ会長は「その日が訪れたら、1つの時代が終わりを告げることになる。F1界の明日は、すべてを1人で取り仕切るバーニー時代のようなワンマンショーではなく、企業構造でなければならない。多額のお金をチームに払って走るペイドライバーの問題、若者のモータースポーツ離れなど、課題は山積している」とし、改革への旗振り役を務める意欲を示した。