ACミランの新スタジアム建設に「ノー !」~ 治安悪化を懸念し、移転先の住民らがミラノ市に建設反対の請願書を提出
サッカー日本代表・本田圭佑選手が所属するACミランが2月中旬に発表した新スタジアムへの移転計画案に対して、移転予定先の住民らが反発し、ミラノ市やロンバルディア州に対して建設反対の請願書を提出した。コリエレ・デッラ・セーラ紙ミラノ版が伝えている。
現在、ライバルクラブのインテルと共同でミラノ市が所有する「サン・シーロ」を本拠地としているACミラン。新スタジアムは、オーナーであるシルヴィオ・ベルルスコーニ元首相の次女、バルバラCEOが強く望む「ミランが所有・運営する完全自前」のスタジアム。建設予定地はミラノ市中心部のポルテッロ・フィエラ地区で、2018-19シーズンのオープンを目指している。
当初は3月にも行政側から建設承認が下りると見られていたが、ここにきて前途に暗雲が漂い出した。ポルテッロ・フィエラ地区にあるマンションやビルの管理人組合がこのほど「もしも新スタジアムがミラノでも人口密集地であるこの地区にできたなら、先日ローマで発生した(フーリガンによる破壊行為の)ような、地元住民らに危害を与えるような行為が起こる危険性も考慮しなければならない。よって、同プロジェクトを承認する権限を持つ者全員が最大の責任感を持って検討することを要望する」との請願書をミラノ市とロンバルディア州の首脳あてに提出した。
2月19日にはローマ市内でオランダのサッカーチーム、フェイエノールトのフーリガンらが集団で暴動を起こし、スペイン広場の歴史的建造物『舟の噴水』が破損、警官10人が負傷し、20人以上のサポーターが逮捕された事件があったばかり。
地元住民らがとくに問題視しているのは、新スタジアム予定地周辺に駐車場を設ける意向がACミラン側に見られないこと。同クラブは、新駅開通予定の地下鉄など公共交通機関の利用によりアクセスが楽になり、交通渋滞をできる限り抑えることができると、その利点を強調しているが、住民側はその分、フーリガンが路上にあふれかえり、治安が脅かされることを危惧している。
野党『五つ星運動』に所属するロンバルディア州のステファノ・ブッファーニ議員は、先に行われた州議会で質問に立ち、
「我々の責務は、市民の安全・安心を保護することを念頭に置いた選択をすることであり、政治的利害によって(新スタジアム建設の承認が)左右されてはならない。スタジアム周辺にパーキングがなく、同地区のキャパシティを完全に超えている。こうした状況では、ローマで起きたようなケースの発生を想定した場合、事態をコントロールすることは極めて困難である」と警鐘を鳴らした。