ACミランが新スタジアム建設計画を発表~ 「エコ・市民への開放・雇用創出」に配慮した「未来型」複合施設に~
サッカー日本代表・本田圭佑選手が所属するACミランはこのほど、2018-19シーズンのオープンを目指した新スタジアム(最大収容人数4万8000人)の建設計画を発表した。同クラブが公開した映像によると、新スタジアムは可動式屋根付きの2階建てで、周辺にはホテルやレストランなどが併設される。建設費用は3億~3億2000万ユーロ(約400億~425億円)の見込み。最終的には3月に建設承認が下りると見られている。ガゼッタ・デッロ・スポルト、コリエレ・デッラ・セーラなどイタリア各紙が報じている。
https://www.corriere.it/sport/cards/milan-ecco-nuovo-stadio/quartiere-rossonero_principale.shtml
セリエA今季第22節を終えて11位に低迷、名門復活に向けて悪戦苦闘中のミランだが、クラブの未来に向けたプロジェクトは着々と進行している。
ミランは現在、ライバルのインテルと共同でミラノ市が所有する約8万人収容の「サン・シーロ」を本拠地としているが、新スタジアムは、オーナーであるシルヴィオ・ベルルスコーニ元首相の次女、バルバラCEOが強く望む「ミランが所有・運営する完全自前」のスタジアムだ。建設地はミラノ市中心部のポルテッロ・フィエラ地区で、最近オープンしたクラブオフィス「カーザ・ミラン」の前となる。
バルバラCEOが打ち出した新スタジアムのプランは「エコ・市民への開放・雇用創出」が3本柱。
スタジアム内やその周辺には、ホテル、レストラン、子供向けの遊園地などの商業施設のほか、スポーツ系高校などを誘致し、広大な緑地や若いアーティストのための開放スペースなども用意するという。バイエルン・ミュンヘンのスタジアムや北京五輪のスタジアムなどを手がけた世界的なエンジニア企業「Arup」とプロジェクトチームを組み、これまで世界中の70以上のスタジアムを研究してきたという。また、ミラノ工科大学建築学部と共同で、試合のある日ばかりではなく、1週間を通じて稼働できる都市型スタジアムの建設を目指している。
「環境に優しいエコ・スタジアム」実現のため、地下10mまで掘り下げることで地上高を30m以内に抑えて(サン・シーロは高さ60m)、周囲の景観や建物との調和を図る。騒音対策も施され、新技術の防音壁が採用されるという。さらに、建物の屋上に緑地スペースを創出したり、ポルティコを張り巡らしたりして、年間を通じて市民の憩いの場になるようにするという。
イングランド型の現代的スタジアムを目指し、新駅開通予定の地下鉄など公共交通機関の利用によりアクセスが楽なことも特長で、周辺の交通渋滞をできる限り抑えることができる。スタジアム入場までのゲート数を減らし、スタンドとピッチとの間の障壁も減らすが、スタジアム内外でのサポーターの暴力・威嚇的行為に対しては厳しく取り締まる。
ミランでは、同プロジェクトによって1500の雇用が新たに生まれるとしている。