スイス国民投票で移民規制賛成派が勝利~ヨーロッパサッカー界に与える影響は?
スイスで9日、移民数を制限するか否かを問う国民投票が実施され、賛成が反対を僅差で上回り可決された。
この結果を受けて、スイス政府は3年以内に移民数の上限を決めなければならなくなった。
全人口(約800万人)に占める外国人の割合が25%前後と欧州ではルクセンブルクに次いで高いスイスで起きた「反移民」の動き。「欧州全体での人の自由な移動」を推進するEUの対応が注目されるが、イタリアメディアの中には、欧州各国のサッカー代表チームに及ぼす影響を心配する向きもある。コリエレ・デッラ・セーラ電子版が伝えている。
同紙によると、サッカースイス代表チームは「移民なしになったら消滅してしまう」という。というのも、現在の代表選手で“純粋なスイス人”はレギュラー中3人しかいないからだ。
彼らの大半は「ベルンやチューリッヒに成功を求めてやってきた移民たち」の子どもである。
たとえば、セリエAで近年好調のナポリを支えるスイス勢、ギョクハン・インレル(29)、ヴァロン・ベーラミ(28)、ブレリム・ジェマイリ(27)のトリオ。
インレルはトルコ出身、ベーラミとジェマイリはともにコソボ出身のアルバニア人だ。さらに、昨年のクラブチーム世界一、バイエルン・ミュンヘンのホープ、ジェルダン・シャチリ(22)もコソボ出身のアルバニア人。彼ら“移民たち”の大活躍で、スイス代表チームはW杯欧州予選を無敗のまま突破し、FIFAランキングで7位となり、ブラジル大会でのシード国入りを果たしたのだ。
コリエレ紙のマッテーオ・クルック記者はさらに、移民問題は何もスイス代表に限った話ではない、と指摘する。
「様々な人種から構成された1998年のW杯覇者・フランス代表、そして(今大会のダークホース的存在である)ベルギー代表はどうなのか? わがイタリア代表にだってバロテッリがいるじゃないか」と。
ACミランのエースストライカーでもあるマリオ・バロテッリ(23)はガーナ移民の子としてパレルモに生まれ、その後、イタリア人夫婦に養子として迎えられた。
クルック記者は、最後にこう記している。
「良きにつけ悪しきにつけ、カルチョというものは、社会の“リトマス試験紙”なのだ」と。