洞窟住居の町マテーラが欧州連合が定める2019年の『欧州文化首都』に選ばれる
イタリア文化財・文化活動相のダリオ・フランチェスキーニ氏は17日、2019年の『欧州文化首都』にマテーラを選出したことを発表した。
欧州文化首都(英: European Capital of Culture、伊: Capitale Europea della Culture)は、欧州連合が指定した加盟国の都市で1年間にわたって集中的に各種の文化行事を展開する事業。1983年にギリシャのメリナ・メルクーリ文化相が提唱し、1985年にアテネを最初の指定都市としてスタート。当初は、加盟国を1カ国ずつ巡回する形で行なわれ、順番にあたる国の政府が開催都市を決定。各国の首都など、名称通り文化面で欧州を代表する都市が選ばれることが多かったが、やがて地方都市を選ぶケースが増えていった。
欧州連合への加盟国が増加したため、2000年以降は年次によって複数の国の都市が指定されている。さらに近年では、文化首都に選ばれた都市同士が協力し合ってイベント等を運営している。「文化首都」に選ばれるためには、市民の参加意識の高さが不可欠であり、プログラムもその都市の文化・経済・社会の発展に長期的に寄与するものでなくてはならないという。
イタリアの都市が指定されたのは、1986年(フィレンツェ)、2000年(ボローニャ)、2004年(ジェノヴァ)に続いて15年ぶり4度目。マテーラのほか、ラヴェンナ、カリアリ、レッチェ、ペルージャ、シエナの計6都市が最終候補に残り、13人の専門家で構成される審査委員会が協議後に投票を行い、13人中7人がマテーラに賛成票を投じた。南部の都市としては初めてとなる。
選考会の模様は生中継され、マテーラでは歴史的中心街のサン・ジョヴァンニ広場でパブリックビューイングが催された。フランチェスキーニ大臣が当選都市の名前を呼び上げると、詰めかけた多くの市民たちが抱き合って喜び、お祭り騒ぎとなった。
なお、2019年はイタリアのほかブルガリア(都市は未定)が開催国に指定されている。
◆マテーラ (Matera) イタリア南部バジリカータ州にある人口約6万人の都市で、マテーラ県の県都。旧市街地区は、石灰質の岩肌に作られた「サッシ(Sassi)」と呼ばれる洞窟住居があることで有名。『マテーラの洞窟住居』は1993年にユネスコの世界遺産に登録された。