東京・日本橋を毎日掃除する“まじキャラ” 「満月マン」にイタリアメディアも興味津々?

2014年09月06日 11:37

国の重要文化財である東京「日本橋」を毎日掃除する「満月マン」がイタリアメディアでも話題を呼んでいる。

ここでまだ、「満月マン」を知らない方に少し説明を。

丸く黄色い満月の頭に、紫色のボディスーツとマントを身にまとう。目を閉じた祈りの表情に、額には「満」、腰のベルトに「月」の文字。自称「永遠の25歳」で、身長2メートル、体重100キロ。

“彼”が言うには、昨年1月27日の満月の夜、六本木ヒルズの屋上で月を眺めていたところ、「満月マン」と呼ぶ声がする。この声に“啓示”を受けて着ぐるみを作り、同年10月10日に活動を開始したという。当初は各地の神社仏閣を回って世界平和を祈っていたが、今年5月、日本橋で首都高高架の撤去を願って祈っていた際、周辺のゴミが目に留まり、そこで毎日通って掃除をするようになったとか。

すでに日本国内では各メディアに取り上げられて有名となり、最近は一緒に掃除をする地元住民や通行人もかなりいるという。

その「満月マン」のニュースがこのほど、イタリアで最大部数を持つ全国紙「コリエレ・デッラ・セーラ紙」のオンライン版でも報じられた。

「彼の正体は知られていない。ただわかっているのは、彼の使命は東京を汚しているゴミと戦うことである。彼の偉大なる武器は1本のふつうの箒と1個の塵取り。人呼んで《Mangetsu Man》~イタリア語で《Mister Luna Piena》」

「彼は約1年にわたり日本の首都の道路の清掃に身を捧げてきた。東京で最も有名な日本橋という名の橋の周辺は、1964年の夏季五輪のために建設された高速道路によって景観が損なわれ、汚染されている。彼の願いは、2020年の東京オリンピックまでに首都高の高架が撤去されることであり、彼の周りにはボランティアの仲間たちが集まり、多くの人が請願書に署名をしている」

--ざっと以上が記事の内容だ。

さて、なぜ「満月マン」のニュースがイタリアでも大きく報じられたかといえば、大方のイタリア国民には「自分たちが暮らす地域社会(職場・学校・道路など)を自発的かつ無償で清掃する」という発想(文化と言ってもいいだろうか)がないからである。いや、これはイタリアに限ったことではない。W杯ブラジル大会で、日本人サポーターが試合応援後、観客席のゴミ拾いをしたというニュースが、日本代表の試合内容より現地で大きく報じられたのはまだ記憶に新しい。

筆者がイタリアの大学に通っていた時のこと。大雪に見舞われて校舎前の道や玄関が雪に埋まったことがあった。「こんな時、日本では学生・教師たちが手分けして雪かきをする。俺たちもしようよ」と提案したところ、彼らは真顔でこう言ったのだ。

「ここではすべて業者に頼むよ。それに自分たちがそんなことをしたら、それを職業にしている人たちの仕事を奪うことになるじゃないか」

こうした考え方は、掃除に関しても同様であり、公共施設の清掃は一切業者に“丸投げ”されている。というわけで、自宅内はあれだけ綺麗好きなイタリア人なのに、一歩家の外に出ると、信じられないくらいゴミが放置され、汚されたままだ。

そんな彼らに、「満月マン」のパフォーマンスはどう映るのだろうか…。

ちなみに、次のような読者コメントが記事の後に載っていた。

「まあ、ここミラノに彼がやってきたら、掃除を始める前に(あまりのゴミの量に)箒を放棄してしまうさ !」