文化財の盗難事件が相次ぐイタリア~今度はミラノ・スフォルツァ城の市立美術館から3点の絵画が盗まれる!
先日、モデナ市中心街にある教会からバロック期のイタリアを代表するグエルチーノの祭壇画(市場価値は500~600万ユーロ=7~8億円)が盗まれたばかりだが、今度はミラノの観光名所・スフォルツァ城内にある市立美術館から3点の絵画が盗まれる事件が発生した。コリエレ・デッラ・セーラ紙など各紙が伝えている。
報道によると、盗難事件があったのは23日の土曜日。15時ごろ、同美術館の「公爵の間」の壁に展示していた3点の絵画(いずれもサイズは25cm×25cm)がなくなっていることに警備員が気づき、同20時ごろ美術館の責任者が警察に通報した。
盗まれた作品は、いずれも1400年代の作者不詳のもので、男性の肖像画。ミラノ市が所有している。
その市場価値は合わせて7万5000ユーロ(約1000万円)とさほど高くはないものの、場所がドゥオーモから目と鼻の先にあり、ミラノ観光の拠点のひとつとも言える美術館ということで、関係者はショックを隠せない。
スフォルツァ城は1450年にミラノ公爵のフランチェスコ・スフォルツァが、ヴィスコンティ家の居城を改築して建設した城塞。16世紀から17世紀にかけて増改築されてヨーロッパでも有数の規模の城塞となった。現在はミラノ市立美術館が入っており、ミケランジェロが死の直前まで彫り続けていたと言われる「ロンダニーニのピエタ」などが展示され、レオナルド・ダ・ヴィンチの未完成壁画も残っている。
同美術館の開館時間は9時~17時30分で、月曜日が休館日。
今回の事件で問題視されているのは、盗まれた絵画が飾られていた場所の周囲に防犯カメラが設置されていなかった点。ミラノ警察が館内のビデオカメラの映像を分析して犯人に結び付く手掛かりを求めているが、今後、行政側の防犯体制の甘さに批判が集まるのは必至だ。