土曜の昼下がり、交通量のまったくない高速道路の走行車線でボール遊びをする若者たち~伊ニュースサイトに投稿された動画が大きな反響を呼ぶ
自動車が1台も通過しない高速道路の車線上でボールを蹴って“遊ぶ”若者たち――。コリエレ・デッラ・セーラ紙オンライン版のベルガモ面にこんな動画が投稿され、大きな反響を呼んでいる。視聴者から上がる怒りの声は、若者たちの行為に対してではない。「こんなにも利用者がいない高速道路をなぜ建設したのか!」という国や自治体の巨額の無駄金に対してである。
この高速道路は、今年7月23日に開通式が行われたばかりのA35号線。ブレーシャからベルガモを経由してミラノを結んでおり(走行距離60km)、通称は《Brebemi》(Brescia・Bergamo・Milanoの略)。
撮影されたのは今月4日の午後で、覆面姿で人相の分からない3人の若者がミラノ方面の車線に立ち入ると、サッカーボールを蹴って遊び始めた。約50秒間の映像の中では、通過する車両は1台もない。反対車線も同様の状態だ。その殺風景ぶりは、まるで土曜の昼下がりの高速道とは思えない。
24億ユーロ(約3000億円)を注ぎ込んで建設された同高速に関しては、すでにブレーシャとミラノを結ぶ高速A4号線が30kmほど北にあるため、計画当初より「利用者数に見合った投資効果はない」として反対の声が強かった。
当局側が最終目標とする利用者数は1日平均5万人、今年末までの中間目標は2万1000人。開通直後に公表されたデータによると1万6000人となっているが、映像を見る限り、この数字が「ねつ造」されたものではないかと思わず疑ってしまう。
イタリアには建設途中で廃止・中断された事業や、ずさんな投資効果予測により赤字を垂れ流している事業が数多くある。今回、動画を投稿した若者たちは、こうした国や地方自治体の無駄な公共事業に抗議する市民団体のメンバーではないかと見られている。