伊新大統領に憲法裁判事のマッタレッラ氏を選出~シチリア島から初、組織犯罪撲滅運動の象徴~

2015年02月01日 13:11

イタリア議会は1月31日、大統領選の第4回投票を行い、高齢を理由に辞任したジョルジョ・ナポリターノ前大統領の後継者として、憲法裁判所判事のセルジョ・マッタレッラ氏(73)を賛成多数で第12代大統領に選出した。任期は7年。2月3日に就任予定。マッタレッラ氏はレンツィ首相率いる与党・民主党(中道左派)のほか、野党議員の一部からも支持を受けた。コリエレ・デッラ・セーラ紙などイタリア各メディアが伝えている。

マッタレッラ新大統領はシチリア島パレルモ出身。同島出身者として初の大統領となった。1980年にシチリア州知事だった兄をマフィアに殺害されたことで政界入りを決意し、83年に下院議員に当選。90年、ベルルスコーニ元首相が所有するメディア企業グループに有利になるとみられた「メディア自由化法案」に抗議して教育相を辞任。99~2001年に国防相を務め、11年10月から憲法裁判事を務めている。一般的な知名度は高くないが、国内では組織犯罪撲滅運動の象徴的存在とみなされ、その高潔な人間性から政界では一目置かれている。

イタリアの大統領は国家元首。儀礼的な役割が大きいが、議会解散、首相任命、国民投票実施などの権限を持ち、政治危機の際には調整役を果たす。大統領を決める合同会議は、上院(321議席)、下院(630議席)の議員と20州の代表58人の計1009人で構成。29、30の両日、計3回の投票が実施されたが、必要票数(3分の2以上)を得た候補が出ず、31日の第4回投票では規定により必要票数が過半数に引き下げられ、マッタレッラ氏は665票を獲得して当選した。
 レンツィ首相は当初よりマッタレッラ氏への支持を強く呼びかけていたが、ベルルスコーニ元首相が率いる中道右派「フォルツァ・イタリア」が猛反発。4回目の投票でも同党議員の大半が白票を投じたと見られる。

マッタレッラ氏の新大統領就任はレンツィ首相にとって「政治的勝利」であり、ツイッターに「おめでとうマッタレッラ大統領!イタリア万歳!」と喜びの投稿をした。ただ、こうした大統領選のしこりから、レンツィ首相が今後、ベルルスコーニ元首相の協力を得られず、同政権が現在取り組む構造改革など緊急課題に支障が出る恐れも指摘されている。

https://www.corriere.it/politica/speciali/2015/elezioni-presidente-repubblica/notizie/elezione-mattarella-presidente-repubblica-a02d9392-a90e-11e4-96d4-6a68544c2eeb.shtml