伊サッカー・セリエB: 2度のクラブ倒産から立ち直り、セリエA復帰を目指す「ACペルージャ」が好発進~開幕戦でボローニャを2対1で降す
イタリアの“緑の心臓”ウンブリア州の州都ペルージャといえば、世界的には「古代エトルリア起源の丘の上の都市」「世界屈指のジェズ祭・ウンブリアジャズフェスティバル(毎年7月開催)」「欧州一のチョコレートの国際見本市(毎年10月開催)」で知られるが、我々日本人にとっては何といっても「中田英寿」が初めてセリエAデビューを飾った地として思い出深い。クラブの名物会長、ルチアーノ・ガウチの古城を改築した邸宅で行われた入団会見(1998年7月24日)で、同会長からフェラーリの携帯をプレゼントされ「今後の活躍次第では、次は本物のフェラーリを贈りたい」と激励を受けたニュースは大きく報じられた。
ところが、中田がローマへ移籍(2000年1月)後しばらくすると、「ACペルージャ」の勢いは下降線をたどり、2004年にはセリエB(2部リーグに相当)降格、05年には経営破綻でセリエC1(同3部)に降格、計画倒産などの容疑でガウチの2人の息子が逮捕され、ガウチ本人はドミニカ共和国に“海外逃亡”する事態となった。クラブは新オーナーのもと再スタートを切ったものの、2010年には2度目のクラブ破綻の憂き目にあい、実質5部に相当するアマチュアリーグのセリエDまで降格する悲哀を味わった。
一時はクラブ消滅も噂されたが、2年前に筆頭株主となった青年実業家のマッシミリアーノ・サントパードレ会長がクラブ刷新に乗り出し、育成部門の整備やセリエAやBでプレーをしていた若手をレンタルで獲得するなどの経営手腕を発揮して、一昨年はレーガ・プロ・プリマ・ディヴィジョーネ(旧C1)でB組2位となり、セリエBとの入替え戦に進出(敗退)、昨季はリーグ優勝を飾り10年ぶりにセリエB復帰を果たした。
8月30日にホームの「レナート・クーリ」で行われた2014-15シーズンの開幕戦では、昨季セリエAのボローニャを2対1で降し、悲願のセリエA返り咲きに向けて好スタートを切った。
当日、同競技場に駆けつけた観衆は1万5000人。最大収容人員は2万8000人だから、まだ半分程度の入りだが、一時はすっかり冷めていた市民の間にも熱気が少しずつ戻ってきている。
ACペルージャはかつて1978-79シーズンのセリエAで、30試合11勝19分という成績でシーズン無敗記録を残してACミランに次ぐ2位となり、2003年にはUEFAインタートトカップに輝いた実績を持つ。ジェンナーロ・ガットゥーゾ、ファビオ・グロッソらイタリア代表選手も輩出している。果たして再び「栄光の日々」を取り戻すことができるか、今後の戦いぶりに注目したい。
ACペルージャ公式ホームページ↓
https://www.acperugiacalcio.it/perugia2014/