世界遺産「サヴォイア王家の王宮群」(トリノ市中心部)を構成する歴史的建造物のひとつ「カヴァッレリッツァ・レアーレ(王立馬場)」で放火事件が発生し、同建物が半壊
トリノ市中心部に位置する世界遺産「サヴォイア王家の王宮群」を構成する歴史的建造物のひとつ「Cavallerizza Reale(カヴァッレリッツァ・レアーレ=王宮馬場)」で8月30日未明に放火事件が発生し、同建物が半壊した。トリノに本社を置く全国紙「ラ・スタンパ」をはじめ各メディアが伝えている。
報道によると、火事が起きたのは30日午前1時半ごろ。同建物の1階倉庫内から出火し、2、3階部分に燃え広がった。通行人の通報ですぐに消防隊が駆けつけ消火活動を行ったが、屋根の広範な部分と数軒の店舗に大きな被害を与えた。火は明け方に消し止められた。
現在、カラビニエーリ(国防省警察)が捜査にあたっているが、火元と見られる倉庫内から、引火性の液体に浸したロール紙が見つかっており、放火事件と断定した。
同建物は過去に何度か窃盗事件や破壊行為の被害を受けたことがあるという。事件の数日前、何者かが施設使用者の車のタイヤのゴムを切り、車体にスプレーでいたずら書きする出来事があり、警察では事件との関連性を調べている。
「サヴォイア王家の王宮群」は16世紀から17世紀にかけて、当時トリノなどを支配していたサヴォイア家によって建てられた建築物の総称。「カヴァッレリッツァ・レアーレ」は、陸軍士官学校の馬場、野外競技場、厩舎用として建設された。1900年代に入ると国家警察の倉庫や民間住宅などに転用され、その後、トリノ市が市立劇場として買い取り、現在はコンサートや公演、各種文化活動などに使用されている。
トリノ市では現在、ピエロ・ファッシーノ市長が先頭に立ち、2015年ミラノ万博開催に合わせて、1007件の世界遺産の全代表が一堂に会した国際会議をトリノで開催しようとユネスコに呼びかけている最中。それだけに今回の放火事件は打撃となった。