ローマが再び全世界に侵攻する?~ただしカルチョ(サッカー)での話ですが~
サッカー「UEFA2016(欧州選手権フランス大会)」の予選が7日に開幕した。この時期、アフリカでも「2015年アフリカ・ネーションズカップ」の最終予選がスタート、アジアや中南米の各代表チームも各地で国際親善試合を行っている。
このためセリエAも先週末はお休みで、第2節の試合は13・14日に開催されるが、ガゼッタ・デッロ・スポルト紙は5日付紙面でアンドレア・プリエーゼ記者が「ローマが世界に侵攻する」との見出しで、数多くの国に代表選手を送り込んでいる「ASローマ」リュディ・ガルシア監督の“悲喜こもごも”の心境をリポートしている。
ASローマが現在、各国に送り出している代表選手(U20・U21を含む)は、10カ国16選手で内訳は以下の通りだ。
▽イタリア代表(5) アストーリ、デ・ロッシ、デストロ、フロレンツィ、ソンマ=U20
▽ギリシャ代表(3) ホレバス、マノラス、トロシディス
▽ブラジル代表(1) マイコン
▽パラグアイ代表(1) サナブリア
▽マリ代表(1) ケイタ
▽コートジボアール代表(1) ジェルビーニョ
▽ベルギー代表(1) ナインゴラン
▽ボスニア代表(1) ピアニッチ
▽セルビア代表(1) リャイッチ
▽トルコ代表(1) ウチャン=U21
これだけの数のメンバーを代表選手として送り出すのはクラブ史上最多記録(これまでの最高は11人)であり、他のクラブと比較しても、セリエA覇者ユヴェントゥスの13人を上回る(ちなみにラツィオ・フィオレンティーナが12人、インテル11人、ウディネーゼ10人、ナポリ9人、ミラン・トリノが8人)。
自らが指導する選手が世界のサッカー界で活躍することは、もちろん監督としては誇らしいことである。その反面、ここまで送り出す選手が多いとなると、やはり弊害も生じ、苦痛の種ともなる。
「いまトリゴリア(ローマの練習場)はほとんど無人状態である。サッカーチームというよりはフットサルのチームを指導するようなものだ。選手は全部で10人ぐらいしかいない。ガルシア監督にとっては複雑な心境だ」とプリエーゼ記者は書いている。
もちろん、代表チームの試合や練習で“自分たち”の選手がケガをしてしまう危険性もある。
現に、ユヴェントゥスのディフェンダーでイタリア代表の主力選手でもあるキエッリーニが、負傷のために欧州選手権予選の初戦(8日・オスロ)を欠場することが決まったのだが、そのまま代表チームに帯同させたい伊サッカー協会首脳部の意向にユヴェントゥス側が反発、トリノに“帰還”させる事態が起きている。
50歳にして早くも名将の評価を受けつつあるガルシア監督が、代表選手留守のマイナス面をいかに切り抜けて、ユーヴェからスクデットを奪うことができるか、お手並み拝見といったところだ。