ユヴェントゥスを生んだ"伝説の"カフェ「プラッティ」が300万ユーロの負債を抱えて倒産、存続を目指し競売にかけられる

2015年04月07日 16:33

欧州サッカー界きっての名門クラブ「ユヴェントゥス」の“生みの親”となったトリノの老舗カフェ『プラッティ』が300万ユーロ(約4億円)の負債を抱えて倒産、営業継続を目指して競売にかけられることになった。ラ・レプッブリカ紙トリノ版が報じている。

『プラッティ』は1875年、トリノ中心部のヴィットーリオ・エマヌエーレ通りに開店。大学生グループ「スポーツクラブ・ユベントゥス」のたまり場となり、ここからユヴェントゥスが誕生したという。トリノの上流階級、サヴォイア王家ゆかりの知識人・文化人、そして自動車メーカー・フィアットの名誉会長、故ジャンニ・アニェッリも通った「伝説のカフェ」である。

ところが--。カフェ自体の売り上げはずっと好調だったというが、同店を経営する親会社が放漫財政と投機株の失敗から巨額の赤字を作り、昨年7月以降は従業員への給料未払いが続き、ついに今年1月23日、シャッターを下して閉店。“最後”の数か月間は、電気代を払っていなかったため、お客は冷たいカプチーノをすすらなければならなかったという。

イタリア有数のカフェ文化を持つトリノでも指折りの歴史を持つ同カフェを存続させるため、破産管財人となったルカ・ポーマ氏は新会社への経営権譲渡を決意、4月14日にトリノ地方裁判所で競売が行われる。経営権を手に入れたいと思う者は少なくとも、未払いの給与分22万ユーロを用意しなければならないという。同金額はあくまで“基本料金”であり、買取金額は当然のことながら競争相手が多くなれば上昇する。ポーマ氏によれば、現時点で申し出があったのは1社だけだが、13日の申し込み締切日までに出願者が増える可能性はあるという。

現状は厳しいままだが、ポーマ氏は「何とかして、この由緒あるカフェと従業員たちを救いたい。全盛期、プラッティは1日に1万ユーロ近くの売り上げがあった。経営危機の時だって4000~5000ユーロ以下に落ち込むことは一度もなかった。立地条件も抜群だし、何より長年の間に獲得してきた名声がある。まだ大きなポテンシャルを持っているんだ。飲食店経営のエキスパートで、堅実でしっかりした企業の手に渡り、彼らがこうしたポテンシャルを最大限引き出してくれることを期待している」と未来に望みを託している。

https://torino.repubblica.it/hermes/inbox/2015/03/31/news/platti_va_all_asta_per_assicurarselo_servono_almeno_200mila_euro-110944996/?ref=HREC1-19