ミラノ県庁本庁舎内に飾られた1700年代作の絵画に、スプマンテのコルク栓が当たって破損、"犯人"として名乗り出たのは同県議

2014年01月25日 19:33

イタリアの公共施設や大学、企業の建物の中に入って驚くのは、玄関やホール、応接室等に名画がさりげなく飾られていること。これらの絵画は、セレモニーなどハレの場を鮮やかに演出する。そこで、さぞ管理・保存には細心の注意を払っているのではと思いきや、意外にもそうでもないようだ。コリエレ・デッラ・セーラ電子(ウェブ)版のミラノ面に掲載された次のような記事を読む限りでは……。

"事件"が起きたのは昨年末。ミラノ県庁本庁舎内のホールに掲げられた、タテ235cm×ヨコ405cmの絵画の中央部分に小さな穴が開いているのが見つかった。その原因を調べていると、やがて「自分がやった」と男が名乗り出てきた。"犯人"は県議会議員で人事担当を務めるロベルト・カッサーゴ氏、71歳。同県議の“釈明”によると、クリスマス前のある日、外部監査が終了した「高揚状態の極み」から、スプマンテ(発泡ワイン)で乾杯しようとしたところ、ボトルから勢いよく"発射"されたコルク栓が「心ならずも」同作品に"命中"してしまったという。すっかり意気消沈した同県議は「修復に必要なお金は、全額私が負担したい」と県当局に申し出たという。

県側の説明では、同作品は1700年代に描かれた油絵で、カペッリーノ・イシンバルディの武勲を描いた軍記物。作者は不詳という。現在、県庁舎となっている建物は、かつてイシンバルディ家の邸宅であり、同氏はイシンバルディ一族の始祖にあたる。

県は「すぐに絵画の修復に必要な手続きをとった。間もなく市民たちのもとに戻ってくるだろう。作者は無名と思われ、その価値は数千ユーロ(数十万円)程度と見られる。損傷は数センチのカットで軽度であり、完全に修復されるだろう」とコメント。実際に県議に損害賠償を請求するかについては言及していない。

同記事の反響は大きく、市民からのメールが続々と届いている。

「大切な絵画に覆いをしていないこと自体驚きだ!」

「スプマンテで祝杯という行為にもあきれるが、馬鹿正直に名乗り出たのにはもっとあきれた!」

さらには、

「こんな高価な賠償額をポケットマネーで支払うとは、一体議員はいくら給料をもらっているんだ!」

まさに芸術の国、そして“フェスタの国”ならではのエピソードである。