ミラノの主要病院の救急センターで非常事態が慢性化~空きベッドを待つため、救急患者らが2日近くも担架に寝かされたまま廊下で待機

2015年04月02日 12:44

どこぞの国では、“同僚”議員との「路チュー不倫」が発覚した直後、マスコミから雲隠れするように病院のVIPルームに緊急入院した(しかも病室内で喫煙して注意された!)代議士センセイがいたが、イタリアの総合病院では救急センターに担ぎ込まれた患者らが空きベッドを待つために担架に寝かされたまま廊下で待機する非常事態が続いている。それも医療システムが最も進んでいるといわれる北部、ミラノの大病院での話だ。コリエレ・デッラ・セーラ紙が伝えている。

これは「イタリア救急医学会(Simeu)」が昨年12月24日~今年1月12日に調査したデータで判明したもの。ミラノの主要病院では、空きベッドを確保するために救急患者が平均で10時間、長い場合は2日間も担架に寝ながら廊下で待機させられていることがわかった。調査時期は、ちょうどインフルエンザの流行や年末年始の休暇に重なり、通常はこれよりも混雑は緩和しているとはいえ、非常事態が日常的に続いていることには変わらず、とりわけ週末は混雑のピークに達している。

「Simeu」ロンバルディア州支部長のマリーア・アントニエッタ・ブレッサンさんは、こうした慢性化した混雑状態について次のように説明する。

「原因は少なくとも三つあります。一つ目は救急センターの受付にやってくる患者の数の多さです。彼らはしばしば症状が重くないのに、ただ医者の“即答”を求めにやってくるのです。二つ目は患者ひとりにかける検査時間の長さ。これは医療システム上の変更も影響しており、とりわけ入退院前の作業が近年煩雑になっています。そして三つめは、各科におけるベッド数の減少です」

従来“許容範囲”と言われてきた「6~8時間」の“搭乗待ち”時間を過ぎても入院できない救急患者をなくそうと、ミラノ市当局は今年1月、各病院内のベッド数を増やすべく、200万ユーロ(約2億6000万円)を計上した。ところが、この“ボーナス”の効き目も40日程度しかもたず、すぐにベッドは満員状態に戻ってしまった。

問題の抜本的改革のためには、退院や転院が可能な入院患者を調べる専門チームの創出、救急患者の検査を迅速に行うための優先的手続き~などが必要とされるが、いずれも多額の費用がかかると考えられている。

こうして「トンネルの出口」が見えない状況の中、年末年始シーズンに次ぐ繁忙期と言われる「復活祭休暇」に間もなく突入する。