長友佑都選手が所属するインテルミラノに激震:マッシモ・モラッティ氏が名誉会長を辞し、同クラブから完全に身を引くことを決断

2014年10月24日 12:29

サッカー・セリエAインテルの前オーナーで、同クラブの名誉会長を務めていたマッシモ・モラッティ氏(69)が、クラブを完全に去ることになった。23日夜(日本時間24日午前)、コリエレ・デッラ・セーラ紙やガゼッタ・デッロ・スポルト紙の電子版などが速報で伝えた。
モラッティ氏は同日、名誉会長の職を退き、取締役を務めていた息子のアンジェロマリオ・モラッティ氏と、リナルド・ゲルフィ氏、アルベルト・マンツォネット氏も辞職届を提出し、名誉会長とともにクラブを去ることを決めた。

マッシモ・モラッティ氏は、1960年代に「グランデ・インテル」を作り上げた石油王アンジェロ・モラッティ氏の息子。1995年に同クラブをモラッティ家のもとに買い戻してオーナーとなると、約18年間トップとして君臨。名将ジョゼ・モウリーニョ氏を擁して2009-10シーズンには、史上初となる3冠(セリエA・イタリア杯・チャンピオンズリーグ優勝)に輝いた。

昨年11月、インドネシア人事業家のエリック・トヒル氏にクラブを売却。会長だったモラッティ氏は、トヒル氏からの依頼を受けて名誉会長を務めていた。

今回の"突然の決断"は、イタリアサッカー界で大きな驚きをもって伝えられている。「インテルに激震が走った」とガゼッタ紙は表現している。

現時点でモラッティ氏側は、クラブを去る理由について明らかにしていないが、コリエレ紙などは、モラッティ氏とワルテル・マッツァーリ監督との確執、そしてクラブの新経営陣に対する不信感が主な原因ではないかと見ている。

現在リーグ9位タイと低迷するインテル。前節ナポリ戦で引き分けて3試合白星のないチームに対し、モラッティ氏は「結果を出さない限り、彼は(解任の)危機に陥るだろう」とマッツァーリ監督を批判。これに対して、マッツァーリ監督も「名誉会長の発言について考えているような時間は私にはない。だからそれに応えるなどというエネルギーの浪費はしない」と痛烈に反発。

さらに、先に開催されたクラブの株主総会において、2013年度の収支決算の承認の場で、約1億ユーロの赤字に対して新CEOのマイケル・ボーリングブローク氏が「過去にクラブ経営が間違った方向に進んだことを、我々は正していきたい。昔のことは忘れて、今は将来を考えよう」とモラッティ氏のこれまでの経営手腕を全否定する発言をしたことも、大きく影響しているのではないかと見られる。

上流階級の出でありながら、庶民的で親しみやすい人柄で、いまもなお多くのインテルサポーターらから愛されているモラッティ氏。今年1月には、チーム主力のフレディ・グアリン選手のユヴェントゥスへの移籍を決めたフロント陣に猛反発したサポーターたちが、モラッティ名誉会長に直訴し、同氏がトヒル会長を説得して一度決まったトレードを白紙撤回するなど、いまだにクラブ内で大きな支持基盤を持っている。

ともかく、これでインテルにおける「一つの時代」が終わりを告げた。精神的支柱を失った同クラブは、さらに混迷を深めることになる。

モラッティ氏のインテルでの18年間は、ガゼッタ・デッロ・スポルト紙オンライン版のグラフ特集で。

https://www.gazzetta.it/Foto-Gallery/Calcio/19-09-2013/moratti-story-201193046038.shtml