トレーナーという仕事

2014年07月15日 15:08

先日、シンクロナイズド・スイミングの元オリンピック選手、大金ユリカさんにお会いして、

興味深いお話を沢山伺いました。

その一部をご紹介いたします。

 

「一般的に馴染みの薄い言葉ですが、『セルフ・コンディショニング』とは、

痛みや不調は結果であり、その原因を全身のバランスや姿勢、動作のクセなどから、

一緒に見つけ出し、マッサージやストレッチ、運動を取り入れながら、

自身で正していきましょう!ということなんです」。

「YUKKAスポーツマッサージ」を開設して、17年目を迎えるそうです。

自分の本来の良い体調を取り戻したいという意識を持った方に気軽に訪ねてもらいたい

という思いが開設のきっかけ。

 「スポーツをする人もしない人も人間の身体の動きは基本的に同じですが、

高齢者は年齢とともに関節の可動域が狭くなり、膝を真っ直ぐ伸ばせないとか、

長座位がつらいとか身体の柔軟性が低下してきます。そうした場合は、

無理な姿勢はさせず、椅子を使ったり、アスリートとは違った運動方法を提案したり

といった選択を考えています」。

アスリートにせよ高齢者にせよ自分の身体と向き合って健康を維持するためのサポートを

するという点では同じなのだと話します。

実は、1986年から88年まで、元シンクロナイズド・スイミングの日本代表メンバーの一人。

3歳になる前から「ベビースイミング」に通い始めて、姉の影響もあって

シンクロナイズド・スイミングの世界へ。高校生の頃は、故障が多く満足にプレーできなかった

こともあったとか。

しかし、紆余曲折の末、その故障で苦しんだ経験がその後の進む道を決める

きっかけになったのです。

「世界選手権の代表に選ばれて海外遠征した際、強豪のアメリカやカナダのチーム

にはトレーナーが帯同していました。それを知ってとても羨ましく思ったのです。

当時の日本チームでは考えられないことでしたから」。

現在、了徳寺大学の整復医療・トレーナー学科で非常勤講師を務め、

柔道整復師として治療のできる体育教諭やアスレティック・トレーナーを

目指す学生の指導に当たっています。

また、大学のアメリカンフットボール部やサッカー部のトレーナー役も。

選手の怪我の管理やコンディショニングを担当していますが、

「アメフトとサッカーではコンタクトスポーツといっても、身体の当たり方に大きな違いがあり、

それぞれの競技に関する最新の専門知識やスキルが必要なんですよ」

と説明してくれました。

また、ドクターが理学的所見で骨折した選手に回復のOKを出しても、

トレーナーの判断は違うと言いきります。

「ケガによって筋肉が落ち、かばっていたことで姿勢不良が出ていますから、

たとえ骨折が治っても全身のバランスを見て最終的な判断を下さなければならないのです」。

どの話からもトレーナーという仕事の面白さが伝わってきます。

「肩は鎖骨、腕の骨、肩甲骨という3つの骨が連動して動いているんです。

四十肩、五十肩になると手を上に挙げられなくなりますが、

肩関節の構造を知ってその3つの骨を動かすイメージを持つことで、

予防や改善ができるようになるんです」と骨の模型を見せていただきながら

説明されると人間の身体はひとつの部位だけで動いているのではないということが

容易に理解できます。

それは骨盤も同様なのだそうです。寛骨(かんこつ)というのは骨盤の左右の壁を

形成する左右一対の骨ですが、仙骨を間に挟んで実はプロペラのように動いている

のだとか。そのことを意識してお尻を滑車のように動かすと、足が自然に上がり、

階段の昇りが楽しくなるのだそうです。

トレーナーって、すごく大変なお仕事なんですね。