ジョルジオ・アルマーニがミラノの自宅内を初公開:「あるものすべてが私の歴史~旅や情熱、友~を物語っている」
80歳を迎えてもなお、ファッション界の大御所として第一線で活躍中のジョルジオ・アルマーニ氏がこのほど、ミラノ中心部にある自宅内をメディアに初公開した。ラ・レプッブリカ紙(オンライン版)のイレーニア・カルレジモ記者の取材に対して、アルマーニ氏は「この家の中にあるものすべてが私の歴史、すなわち、旅や情熱、友について物語っている」と語っている。
https://design.repubblica.it/2014/10/21/a-casa-di-giorgio-armani/?ref=HRLV-24#1
アルマーニ氏の現在の住居は、17世紀の館を改装する形で1982年に完成した。3階建てでバルコニーがあり、広さは約2000平方メートル。内装は白を基調に、シンプルな直線で構成されており、1930~40年代の世界各地の様式がミックスされている。
インテリアで目を引くの多数のオブジェ。アルマーニ氏によれば、一見ささいで無意味なような物にも意味が込められているという。また、「正反対」のものが「対話」をし、調和しているのも特徴。たとえば「破られたジャケット」は、上品さと同時にアンフォルメルを表現しており、彼にとってイコンとも言うべき存在である。
書斎の中に置かれたゴジラは、映画のセットからプレゼントされたもの。故郷ピアチェンツァの古い映画館からやってきた1枚の巨大な絵画。そして、ブロンズでできた数体のヒョウの像。ひとつは1930年代、もうひとつは最近の作品で、残りは中東風のタッチが施されている。
中でも動物のオブジェが多いことについて、アルマーニ氏は「自然に対する私の愛着を反映している。野生が持つ力強さを私に思い出させてくれる。アールデコやコンテンポラリーアートとともに、私にとってはインスピレーションの源として最も重要なもの。ビジネスの中心地であり、組織され、混沌としたミラノの町の中にあって、オアシスを創出している」と説明する。
アルマーニ氏のインテリアに対する基本理念とは何か。
「様々なオブジェをひとつに結び合わせるという意図がある。価値のないようなものであっても、偶然置かれているのではない。各々に持ち場がある。それらはセンチメンタルな気分に浸るためにあるのではなく、私の人生における特別な瞬間と場所を物語っている」
「したがって、たとえば、カルティエの金の小箱が本来あるべき場所から移動しているだけでも、私は不安な気持ちに陥る」
「私の家の中には、様々な世界の要素が混在している。それらは時として、きしる音を発する。すべてが基本的なものだが、何物も他より優位に立っていることはない」
カルレジモ記者によれば、彼の家は「1冊の教科書」のように、彼の職業上の歴史と生活を物語っているという。
その内壁には、ミラノの百貨店「ラ・リナシェンテ」のショーウインドーのディスプレーから、世界に飛躍するきっかけとなった映画『アメリカン・ジゴロ』でのリチャード・ギアのコスチューム、さらには全世界のブティックに広がるモーダ、プレタポルテ、デザイン、さらには美容術にまで及ぶ、1人の男の人生が凝縮されている。
「この家に住んで30年以上が経つが、これまで一度も、ほんの一瞬でも、家を替えようと思ったことはない」とアルマーニ氏は言う。
その理由は?
「私にとって、ここは逃げ場所であり、心の拠り所。ひっそりと過ごすことができる場所。そして、好きな人たちと時間を共有する喜びを見出せる場所でもあるんだ」