これぞ、リアル「天使にラブソングを」! シチリア出身の修道女が一夜にして世界的ポップスターに~素人オーディション番組「ザ・ボイス」に出場、YouTube の再生回数のスピード記録で「江南スタイル」を超す快挙

2014年03月27日 17:24

イタリアの音楽オーディション番組「The Voice(ザ・ボイス)」にシチリア・ラグーサ出身の修道女が出場、その圧倒的な歌唱力で世界中を大興奮させている。彼女の熱唱は即刻YouTubeにアップされ、最多再生記録を持つ韓国人歌手PSYの「江南(ガンナム)スタイル」を上回るスピードで「クリック」が押されている。コリエレ・デッラ・セーラ紙をはじめ各国メディアが伝えている。

この女性は、カトリック教会のウルスラ会(Ursuline)に所属するシスター、クリスティーナ・スクッチャ(Christina Scuccia)さん、25歳。

「ザ・ボイス」は2010年9月にオランダで始まった素人オーディション番組。現在、世界20カ国以上でシリーズ化されており、イタリアでも国営テレビ「RAI2」が制作し、水曜のゴールデンタイム(21~22時台)で150分にわたリ放送している。番組は審査員が歌声だけで審査する「ブラインド・オーディション」で始まり、バトルラウンド、そして生放送でのライブパフォーマンスで優勝者が決まる。

スクッチャさんがステージに登場したのは3月19日。黒の修道衣を身にまとい、十字架のネックレスをつけた彼女が華奢な体を小刻みに揺らしながらアグレッシブに、米国のグラミー賞R&B歌手、アリシア・キーズの「NO ONE(ノー・ワン)」を歌い始めると、観客は総立ちに。4人の審査員たちも次々と「合格」のボタンを押していくが、椅子がクルリと回って初めて彼女の姿を見たときの表情が印象的。みな一様に口をポカーンとさせて、中には涙ぐむ審査員も。

イタリア・ポップス界の大御所、ラッファエッラ・カラが最初に発した言葉は「あなた、本当にシスターなの?」

「ええ、正真正銘の」

「神から与えられた才能があるからここに来ました。その才能を分かち合えればと思って」

堂々と応じるスクッチャさん。舞台裏では、応援に駆けつけた仲間のシスターたちから拍手が沸き起こる。

「でも、バチカン(法王庁)は何て言うかしら?」

次なるカラさんの質問には、

「法王からの電話を待っています。フランシスコ法王が『修道院から外に出て、神の言葉を広めなさい』とおっしゃったの」

彼女の熱唱シーンがYouTubeにアップされるやツイッター上で話題となり、♯suorcristina(修道女クリスティーナ)のタグができる“騒動”に。

「まさに、リアルSister Act(天使にラブソング)だ!」

「シスター界のシンディ・ローパー!」

との賛辞の嵐。

各国の著名人も続々とコメントを寄せ、

当のアリシア・キーズも

「ねえ、これぞ純然たる美しさ、そして力強さよ!」

と彼女のファンの一人に。

YouTubeでの再生回数は、わずか3日間で約1300万回に達したが、これは史上最多再生記録(約20億回)を持つ韓国人ラッパー、PSY(本名パク・ジェサン)「江南(ガンナム)スタイル」のスピードを大きく上回る最速記録(PSYは18日で1000万回に達した)。

最多再生記録更新に向けて、YouTube側も彼女をバックアップ。同動画はYouTubeサイトの「世界のポピュラーミュージックリスト」に掲載され、より「クリック」されやすくなった。

現在のところ、法王庁からの公式コメントはないが、同庁のラヴァージ枢機卿は「各人が、神から与えられた才能に応じて、他者に奉仕をすればよい」とツイート、サン・ピエトロの音楽責任者のコリーノ卿も「彼女がとった手段が崇高さのしるしであるならば歓迎したい」と同意を示している。