イタリア初 ! 病院の中に"映画館"が誕生~治療効果に着目~「ニュー・シネマ・パラダイス」のトルナトーレ監督が資金カンパを呼び掛けるプロモーションビデオを制作

2015年03月23日 23:29

映画鑑賞が持つ「セラピー効果」に着目して、ローマの総合病院が病棟内を改築し120人収容のシネマホールを設置することになった。資金捻出のためのプロモーションビデオの制作を買って出たのが、『ニュー・シネマ・パラダイス』(伊題:Nuovo Cinema Paradiso)のジュゼッペ・トルナトーレ監督。コリエレ・デッラ・セーラ紙のヴァレーリオ・カッペッリ記者が伝えている。

この病院は、ローマ最大規模の総合病院《Policlinico Gemelli(ポリクリニコ・ジェメッリ)》~通称“双子病院”。同病院は、音楽の持つ「癒し効果」に注目して20年ほど前からオーケストラによるコンサートを施設内で開催するなど様々な試みを行っているが、新たに着目したのが「映画が持つ力」。病棟の8・9階部分を改築して、120人収容の映画上映専用ホールを建設する。観客は、入院患者やその家族、そして介護スタッフたち。これから工事に入り、8月末までには完成する予定だ。すでに国営放送局RAIの映画製作・配給部門《RAI CINEMA》が作品リストの供給などの支援を表明している。

ホールの建設費用は約60万ユーロ(約8000万円)に上るが、そのうち半分は、映画や文化を治療目的に活用することを目指して2013年に創設されたNPO法人「メディチネマ・イタリア」による資金カンパによって賄う予定。このキャンペーンは、“双子病院”のプロジェクトへの募金を呼びかけるプロモーションビデオを制作し、シアターチェーン《The Spacecinema》がイタリア国内に持つ362のホールでスポットとして上映するもの。

プロモーションビデオの制作を買って出たのがトルナトーレ氏。『ニュー・シネマ・パラダイス』でオスカーに輝いたトルナトーレ監督だが、過去に病院内を舞台とした作品を制作したこともある。

「1日だけで病院内を撮影したんだ。会議用ホールを使い、患者や看護師たちも巻き込んで。エキストラは1人もいないよ」とトルナトーレ氏は、撮影現場を振り返る。

スポットは90秒と30秒の2つのバージョン。救急救命センターの廊下を移動ベッドを押して慌ただしく駆け回る看護師たち、興奮状態の医師や病人たちの姿、それとは対照的に、巨大なオーディオホールから流れてくるディズニーのクリスマス映画の映像、ロボット看護師のBaymaxが観客から笑顔で迎えられている、といった内容だ。

2005年以降、ローマ市があるラツィオ州では55もの映画上映ホールが閉館するなど、イタリアでも映画界を取り巻く状況は厳しい。そうした中で“双子病院”内に新たなホールが開館する。トルナトーレ氏は「映画の使命はまだ終わっていない」と説く。

「喜劇映画の持つ力はまだまだ健在だ。爆笑こそ、病気に対する強力な治療法。精神的な不調から立ち直るフィルムもある。私の場合は、フランソワ・トリュフォー監督の『アメリカの夜』だった」

『ニュー・シネマ・ジェメッリ』のスピリット、それは、

《La vita e' meravigliosa.》

「人生(命)って素晴らしい」である。

https://roma.corriere.it/notizie/cultura_e_spettacoli/15_marzo_19/nuovo-cinema-gemelli-valore-terapeutico-cinema-d3225620-ce61-11e4-b573-56a67cdde4d3.shtml