タイヤ業界世界5位、イタリアを代表するメーカー・ピレリが中国企業に買収される
タイヤ業界世界5位で、フィアットとともにイタリアの製造業を代表する企業であるピレリ(本社ミラノ)が中国勢の手に渡ることになった。中国の化学メーカー「中国化工集団公司」(ケムチャイナ)が同社を買収することで合意に至ったもので 、22日夜(日本時間23日午前)、イタリアの各メディアが報じた。
報道によると、ケムチャイナのタイヤ製造部門である完全子会社がピレリ株26.193%を持ち株会社のカムフィンから取得、残りのピレリ株に対してはTOB(株式公開買い付け)が実施される。提示額は1株当たり15ユーロで、ピレリを70億ユーロと評価した形だ。
経営権は中国側が掌握するが、CEOはピレリのマルコ・トロンケッティ・プロヴェーラ氏がそのまま務める。カムフィンはトロンケッティ氏が間接的に支配している。
ピレリはケムチャイナと手を組むことで中国における存在感を増し、産業用タイヤの販売を現在の2倍にあたる年間約1200万個へと伸ばすのが狙い。
ピレリのトラック・商業タイヤ事業はケムチャイナ傘下で上場する企業に統合されるが、本社と研究部門は引き続きイタリア国内にとどまるという。イタリア経済界では近年、海外資本、中でもアジア資本の台頭が続いている。
今年2月には、日立製作所が防衛・航空企業「フィンメカニカ」の鉄道事業の買収を発表。2013年11月には、サッカー・セリエAの名門クラブ「インテル」がインドネシアの実業家エリック・トヒル氏に買収されており、現在、シルビオ・ベルルスコーニ氏が所有する「ACミラン」もタイの実業家から買収を打診されている。