ひまわり俳句新聞26号を発行しました

2014年09月29日 20:30

ひまわり俳句新聞26号

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「母の俳句」

名月や世界は狭しめくるめく

 

雨あがり雲ひとすじの十六夜

 

十六夜さっき泣いた子もう笑う

 

浜梨旨し古里は長十郎

 

雑草に肩で息する鶏頭花

 

破れ柵雀の群れて野路の秋

 

敬老日翁媼の三番叟

 

和菓子屋の売子気張れや敬老日

 

コスモスの茎たのもしや体育系

 

一歩づつ地をける力秋の風

 

近道をゆかず金秋遠まわり

 

雲呼んで四方山ばなしの案山子かな

 

鮮やかや片目でみてる秋の雲

 

ひとり居のシャワー身に沁む一日かな

 

秋湿り介護保険のABC

 

父と子の病みてつれなき秋暑かな

 

色紙を折りて鳴き出す秋の虫

 

リハビリの脚持ちあげるチンチロリン

 

白露てふ心不全の爺蘇る

 

椋鳥の人騒がせな卒寿かな

 

「息子の俳句」

一葉の秋迷い込む愁いかな

 

手のしわの陽光しるす秋はじめ

 

はたと見る案山子姿の農夫かな

 

秋夕焼飛び去る鳥の胸騒ぎ

 

亀も亦子視る目をして秋日和

 

狂いなき月の満ち欠け稚魚の影

 

ヨーグルトの一色(ひといろ)ぐんと秋めく

 

待ちわびる郵便受けの月明かり

 

まつすぐの好きな人添ふ良夜かな

 

山畑の風迷いなく秋に入る

 

種蒔きの終えし土染む秋夕焼

 

胡桃割る親子喧嘩のかしましさ

 

長き夜や馬の蹄を聞いている

 

トラクター大きく秋の声を出す

 

しづけさのしづかにゆれる秋の虫

 

ウクレレの九月といへどやわらかき

 

秋の蝉腰の痛みを泣き明かす

 

古里の河に仄見ゆ天の川

 

肌ごころ土の香りよ小鳥来る

 

「心不全で倒れた父へ」

 

コスモスや不死鳥となり老父舞ふ

 

父見舞ふ二百十日のことならず

 

いしょくじゅう事足りてあるけふの月