さよならルーカ ! フィアット・クライスラーの米国市場上場の日に、モンテゼーモロ氏がフェラーリ会長を退任
イタリア自動車大手フィアットと米クライスラーが統合して発足したフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は13日、ニューヨーク証券取引所に株式を上場した。世界最大の資本市場である米国で資金調達への足掛かりを獲得、今後は世界展開を加速させて、現在7位の世界販売でさらに上位を目指す。FCA株は8.92ドル(約960円)で初日の取引を終了。9ドルの初値からは下落したものの、伊ミラノ証取で取引されていたフィアット株の先週末の終値6.94ユーロ(約8.80ドル)を上回った。
この日はまた、グループ企業としてFCAの世界戦略において大きな役割を持つフェラーリのトップが、ルカ・ディ・モンテゼーモロ氏からセルジオ・マルキオンネ氏にバトンタッチした日でもあった。
モンテゼーモロ氏は1973年、故エンツォ・フェラーリ氏の招きでF1フェラーリのチームマネージャーに就任、ニキ・ラウダ氏をドライバーに擁して不振のチームを立て直すと、フィアット社役員などを経て、1991年には社長としてフェラーリに戻り、以来23年にわたって同社を率いた。その間、F1ではミハエル・シューマッハー氏を擁してドライバーズタイトルを5年連続、コンストラクターズタイトルを6年連続で獲得するなど全盛期を作り上げた。市販車部門でも品質向上に取り組み、斬新なモデルを開発して売上げを急増させ、親会社フィアットの会長としてもセルジオ・マルキオンネ氏と「二人三脚」でグループ再建に尽力。フェラーリにとってもフィアットにとっても「中興の祖」であった。しかし、最近はフェラーリの世界戦略などに関して、FCAのCEOを務めるマルキオンネ氏との意見の相違が目立ち、ここ数年におけるF1の不振の責任を取る形で、今年9月、トップの座をマルキオンネ氏に譲ることを決意した。
8日、長年通い慣れたマラネッロのフェラーリ本社で行われた「退任式」には、F1スタッフから市販車製造ラインのスタッフまでが総出で、スタンディングオベーションでモンテゼーモロ氏を出迎えた。
モンテゼーモロ氏は「君たちなんだよ、フェラーリの力・強さというものは ! 私は君たちを誇りに思っている。これまで本当にありがとう。世界一素晴らしい会社で働くことができて、私は幸せ者だ」と感無量の面持ちで"家族たち"に別れを告げた。
本社を去る同氏を見送った社員たちは、いつまでも名残惜しそうにサインや記念撮影をリクエスト。そんな彼らの願いにモンテゼーモロ氏も気さくに応じていた。
退任式の模様は、ガゼッタ・デッロ・スポルト紙オンライン版でご覧になれます。