「新車を買うか、それとも子供たちを大学に通わせるか? いま、多くの親が車を選んでいる」--ジャンニーニ教育相が昨今のイタリア教育事情に警鐘を鳴らす

2014年03月23日 14:16

「勉学の文化、犠牲の文化というものが、私たちの社会や家庭から失われている。一例を挙げるとすれば、現在、子供たちを大学に通わせる費用は、小型乗用車を1台購入するのと同程度だが、多くの親が教育を授けることで子供の将来を確かなものにする代わりに、新車を購入している」

国営ラジオ放送「RAI Radio1」の情報番組「Prima di Tutto」の中で、ステファニア・ジャンニーニ教育相が現代イタリアの教育事情に警鐘を鳴らした。コリエレ・デッラ・セーラ紙が伝えている。

言語学者のジャンニーニ氏(53歳)は、国立ペルージャ外国人大学で9年間にわたって学長を務めた経歴を持ち、国際教育の現場に精通しており、今年2月に発足したレンツィ政権で教育相に抜擢された。

同番組の中でジャンニーニ氏は、数学など自然科学分野でイタリアの若者がOECD(経済協力開発機構)加盟国の平均を下回っている点に関して「我々の生徒たちが怠け者だとは思わない」とした上で、「我々はいま一度、生活を豊かにするために学ぶという、勉学に対する価値感を取り戻さなければならない」とコメント。さらに、こうした教育改革のためには教師の待遇向上が不可欠と指摘。「教えるということは、この世で最も素晴らしい職業であると思う。だが、この国の教師の報酬制度は劣悪であり、政府の政策によって虐げられている。金額的に低いばかりではなく、予算が無駄なところに使われている。ヨーロッパの他の先進国に比べると、イタリアの教師にはキャリア形成の見込みというものが全くない」と訴えた。