「路上生活者たちにも暖かく温かなクリスマスを」--広がるローマ市民たちの連帯の輪

2013年12月25日 10:12

《Natale con i tuoi, Pasqua con chi vuoi.》

(クリスマスは家族とともに、復活祭は好きな人と一緒に)

24日の“cenone”と呼ばれる晩餐に始まり、25日のクリスマス、そして26日の聖ステファノの祝日。この3日間は、イタリア人にとって家族、親戚が一堂に会する一年の中で最も「心温まる」機会である。ところが、寒風吹き抜ける路上で独り寂しく過ごさねばならない人々もいる。近年、その数は増加の一途をたどっているが、一方で、ローマ市民の中には彼ら弱者への連帯感からボランティア活動に乗り出す人も増えている。コリエレ・デッラ・セーラ電子版が伝えている。

 

イタリアには「路上生活者」を指す言葉が2つある。

《barbone》と《senza tetto》。

「バルボーネ」はbarba(ひげ)から派生した語で、「ひげもじゃの男」「浮浪者」とでも訳せようか。「センツァ・テット」はtetto(屋根)がsenza(無い)から「家無し」「ホームレス」となる。

貧民救済団体「サンテジディオ・コミュニティ」のマルコ・インパリアッツォ代表によると、現在ローマ市内には8000人もの「住所不定者」がいるという。うち3360人は、この冬の間、市の夜間救護センターや教会・宗教関連施設やボランティア協会に待避所を見つけ、2000人は応急住宅に寝泊りしている。残る2500人が路上で暮らす者たちだ。「ここ数年、移民ばかりではなく、イタリア人に関しても状況は悲惨だ。経済危機や失業・立ち退き命令などによって、ローマにおける路上生活者は1割 ほど増えている」。さらに、全人口(275万人)のうち約10万人の高齢者・失業者・家族たちが月末の給料日・年金手当て支給日まで生活費が持たず、借金などでようやく暮らしている。

だが、暗い話ばかりではない。こうした危機的状況を受けて、ローマ市民の間に彼ら弱者たちへの《solidarieta'》(団結・連帯感)が高まっているという。

「今年、各協会・コミュニティ・教会を介してボランティアを行う市民の数が2割も増えた。こうしたデータは、イタリア人の『成熟度』を示している」とインパリアッツォ氏は強調する。

毎年クリスマスシーズンが近づくと、「サンテジディオ」では、『どこで眠ることができ、食事ができて、シャワーを浴びることができるか』という題名の小冊子を制作・配布している。500以上の教会や介護センター・シャワー施設・医療機関、さらにはアルコール依存症や麻薬中毒者のための施設・相談センターの住所や電話番号、ボランティアグループによる炊き出しやパニーノ配給場所のマップなど、生活に役立つ情報が満載で、路上生活者が無事に冬を越すための「羅針盤」として好評を得ている。

同団体では今年の年末年始も様々な企画を立てており、24日には各駅付近や路上生活者が集まる場所を巡回して夕食会を開くほか、25日には約500カ所の救護センターで昼食会を開催、26日にはボランティアたちがローマ市内の拘置所を訪れて受刑者とランチを共にすることになっている。