「イタリアには黒人の大統領が必要」~コンゴ出身のセシル・キィェンジェ前・移民問題担当大臣が発言
ジョルジョ・ナポリターノ氏の“勇退”を受け、現在、新大統領の擁立作業がイタリア上下院内で進行中だが、前政権で移民問題担当大臣を務めたセシル・キィェンジェ民主党議員(50歳)がこのほど、「クイリナレーレ(イタリア大統領官邸)には黒人の大統領が必要」との自論を述べた。コリエレ・デッラ・セーラ紙が報じている。
キィェンジェ女史はコンゴ出身。ローマカトリック大学とモデナ大学の医学部に留学し、その後イタリア人男性と結婚し、1994年にイタリア市民権を取得した。本業は外科医・眼科医。エンリコ・レッタ前首相のもとで、移民や人種差別問題を担当する大臣に登用され、イタリア初の黒人大臣となった。在任中は、極右団体や極右政党から攻撃を受け「コンゴに帰れ」という旗をオフィスの外に掲げられたり、演説中にバナナを投げつけられたり、「オランウータンのようだ」などの侮辱を受けながら、毅然として諸改革に取り組んできた。
キィェンジェ女史は、具体的な人物の名前は挙げなかったが、「黒人がイタリア大統領になって欲しい。偏見などにとらわれない融通無碍な精神の持ち主で、多文化と民族多様性の価値を自覚している人がこの国のトップには必要」と語った。
「でも、それはユートピアなのでは?」との記者の問いかけに対し、キィェンジェ女史は、
「確かにそうね。今月末にこのような大統領が選ばれるとは思わない。現在取り上げられている候補者たちの顔ぶれを見る限り、適任と見られる人は一人もいない。黒人の大臣を受け入れる勇気を持っていたジョルジョ・ナポリターノ前大統領のように、先見の明のある人物は……」
と答えた。