「ピッツァは手づかみで食べるもの。ナイフやフォークを使うなんてもっての外!」--イタリア系ニューヨーク市長、米メディアから“正しいピッツァの食べ方”を教えられる
昨年11月の米ニューヨーク市長選で、富裕層への増税、低所得者層への福祉の拡大による「貧富の格差縮小」を訴えて当選したビル・デブラシオ氏(52)。20年ぶりの民主党市政ということで、その動向が注目されているが、同氏の母方の祖父母がイタリア移民ということで"祖国"でもマスコミに大きく取り上げられている。1月1日の市長就任式からわずか10日後、「ピッツァの食べ方」を巡ってデブラシオ氏が"初スキャンダル"に見舞われた、とコリエレ・デッラ・セーラ電子版(Web)が報じている。
"事件"が起きたのは、先週金曜日(10日)。新市長は、スタテンアイランドで最も有名で"崇拝"されているピッツェリアのひとつ「Googfellas」にランチに出かけた。そこにはマスコミや野次馬たちが待っていた。そしてピッツァがテーブルに届くと、デブラシオ氏は"思いもよらない"行動に出た。フォークとナイフを使って食べ始めたのだ。
翌日のニューヨークタイムズの紙面に、その模様は数枚の組み写真とともに掲載され、新市長の"マナー"が槍玉に挙げられた。
「なんてことだ。真のニューヨーカーは、(ピッツァは)一切れを手に掴んでガツガツ食べるものだ!」と同紙は一喝。さらに数人のコメンテーターを登場させて、「市政スタート10日目で犯した失政第1号」「La luna di miele(蜜月)はすでに終わった」などと書き立てたのだ。
そんな米メディアの"ネガティブ・キャンペーン"をコリエレ紙は、
「大げさな批評? おそらくね。それでも、毎度おなじみの(ニューヨーク)メディアによる騒動は、すぐさまソーシャルネットワーク上に延焼し、市民たちの無数の批判の的になった」とし、「まさにピッツァゲートだ」と締めくくっている。
「私はイタリア系であることを誇りに思っている」と常々語っているデブラシオ氏。今回の騒動に関しても「単に(ピッツァ発祥の)イタリアのしきたりに忠実なまでだ」と堂々と応じているという。
彼が言うように、イタリアでは老弱男女ほとんどの人が、フォークとナイフを器用に使ってピッツァを綺麗に平らげる。
日清製粉グループのHP上に、「真のナポリピッツァ協会」日本支部が監修した「ナポリピッツァの基礎知識」というコーナーがある。
同協会はナポリのピッツァ職人たちが発起人となって1984年に設立したもの。ナポリピッツァは、EUの伝統的特産品保証(STG)に認定されているのだ。
ちなみに、彼らは「ピッツァの正しい食べ方」について、次のように説明している。
「ピッツァの食べ方に厳格なマナーはありません。手で食べても、ナイフとフォークを使ってもどちらでもOK。ただし、焼きたてのピッツァはアツアツ、はじめはナイフとフォークを使って食べた方が無難ですし、見た目もエレガントです」
うーん、さすがはナポレターノ! 狭量なニューヨーカーとは一味違いますな。