「攻撃は天国、守備は地獄」--伊紙がACミランの序盤戦を総括

2014年09月26日 09:59

ガゼッタ・デッロ・スポルト紙は25日付の紙面で、現在リーグ戦7位につけているACミランの序盤戦を総括している。

「攻撃は天国、守備は地獄」との見出しが躍る特集記事の中で、ミラン番のマルコ・パソット記者は、本田圭佑選手の”覚醒”などによって厚みのある攻撃を見せるFW陣を称賛する一方で、気が抜けたプレーが目につく守備陣を批判している。

まず、攻撃面でパソット記者が強調するのは、「バロテッリの個人技頼み」だった昨季に比べて、より多くのフォワードが得点を挙げるようになり、戦術面のオプションが広がっている点。バロテッリ、カカといった「個の力」で勝負する選手が移籍したことで、インザーギ新監督の求める「各選手が相互作用する」チ-ムプレーが浸透しはじめた。

「昨季バロテッリは公式戦で18ゴールを決めた。彼に続いたのはカカだったが、9ゴールに終わった。それが今年はどうだろう。4試合を終えたところでメネズと本田が3ゴール、トーレスとボナヴェントゥーラが1ゴール、すでに4人のFWが得点を決めている。残っているのはエルシャーラウィだが、彼は彼で、すでにゴールと同じくらい重要なものをチームメートに対して与えている。こうした『素晴らしい協同組合』のようなサッカーは、シーズン前の親善試合ですでに見られ、エルシャーラウィ、本田、ニアンが3ゴール、パッツィーニが2ゴール、メネズが1ゴールを決めていた」

そしてパソット記者は、万遍なくゴールを挙げている攻撃陣について、インザーギ監督によるシーズン前の練習の成果が出ていると分析する。チーム練習の中で監督が求めたものを、選手たちが本番で実践しようと努めているという。

たとえば、本田選手は今季4試合3得点と昨年の不振がウソのように絶好調だが、第2節パルマ戦で見せたヘディングによるゴール、さらには、名手・ブッフォンに惜しくも阻まれたが、第3節ユヴェントゥス戦で見せたヘディングシュートは、インザーギ監督直伝によるものだという。

「あの形は、7月中旬からインザーギ監督が練習で繰り返していたもの。ボランチでボールを回し、サイドバックが駆け上がる。フォワードの両サイドはサイドバックにスペースを空けてエリア内に入り、そこにクロスを入れるというものだ」

「すべてのクオリティーが攻撃に加わり、フォーメーションも自在に変えられる。トーレスが入る時は4-2-3-1がより機能する。メネズがセンターの時には4-3-3。両サイドは人材が豊富で問題ない」
こうして各選手が複数のシステムをこなせるようになり戦術的な幅が広がったミランだが、問題は「地獄」と呼ばれている守備だ。

開幕から4試合で8失点というのは、1983-84シーズンの10失点に次ぐ“記録”である。

8失点のうち3点が「止まっているボール」~すなわちコーナーキックやFKからの失点だ。かつては「鉄壁」と謳われたミランの守備陣だが、こうした傾向は、最近のミランの特徴であり、昨年も23失点が「止まっているボール」から喫したものだった。アッレグリ監督時代からの“負の遺産”をそのまま引き継いでいる。

「スタンド(の記者席)から見ているとよくわかるが、原因は、相手選手の技量によるものというよりはむしろ、ミランの守備陣にある。相手方のコーナーキックやフリーキックの際、自分のマークする選手が誰であるかよく理解していないように見える」

とパソット記者は分析。

さらに「止まっているボール」への対処の拙さは、ひとつの側面にすぎないとし、

「ボールが動いている時でも、しばしば怠慢なプレーが見られる。DF陣にばかり罪を着せるわけにはいかない。デ・ヨング、デ・シーリオ、ボネーラら中盤の選手らも時々適切な守備をしないことがある」

とし、守備の拙さは、特定の個人の問題だけでなく、チーム全体の問題であることを強調している。